公務員の方でも古物商許可の取得を検討したいと考える方は多いと思います。しかし、「公務員が古物商許可を取得できるのか」と迷ってしまいますよね。
そんな公務員の方が古物商許可を取得できるのか否かは、本記事で簡単に理解できます。
本記事は、『公務員は古物商許可を取得できる?』を詳しくご紹介します。
公務員でも古物商許可を取得できる。けど・・・
古物営業法では、古物商許可を取得できない人(法人)を以下のとおり定めています。
欠格事由の詳しい内容は、弊所別記事「欠格事由とは?」をご確認ください。
古物営業法第4条:許可の基準
- 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
- (罪種を問わず)禁固刑や懲役刑に処せられ、又は無許可古物営業や名義貸しのほか窃盗、背任、遺失物横領、盗品譲受け等で罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けなくなってから5年を経過しない者
- 暴力団員
- 暴力団員でなくなってから5年を経過しない者
- 暴力団以外の犯罪組織の構成員で、強いぐ犯性が認められる者
- 暴力団対策法第12条、第12条の4第2項及び第12条の6の命令又は指示を受けた者であって、受けてから3年を経過しない者
- 住居の定まらない者
- 古物営業法第24条の規定により古物営業の許可を取り消されてから5年を経過しない者等
- 精神機能の障害により古物営業を適正に営めない者
- 一定の未成年
- 営業所ごとに管理者を選任しないと考えられる者
- 法人で、役員に上記①から⑨までのいずれかに該当する者があるもの
上記欠格事由に「公務員」の記載はありません。したがって、古物営業法上は公務員であっても古物商許可を取得することが可能です。
しかし、公務員の方が注意すべき法律は古物営業法だけではありません。
公務員の方は「公務員法」の規定を確認する必要があるからです。
公務員法による制限
前述のとおり、古物営業法上は公務員の方でも古物商許可の取得は可能です。しかし、公務員の方は「公務員法(国家公務員法・地方公務員法)」の規定を確認する必要があります。
公務員法とは、職や任免、給与、労働関係、服務等、公務員に関する身分取扱の基本的な内容が記されている法律です。
この公務員法は「副業の禁止」を規定しています。したがって、公務員の方が古物商を副業として行う場合、公務員法の副業禁止規定を詳しく確認する必要があるのです。
公務員法の副業禁止の規定は以下のとおりです。
国家公務員法 第103条
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
国家公務員法 第104条
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
地方公務員法 第38条
職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
上記内容を要約すると、「営利目的の活動(自営業・会社員)や団体に関わること(顧問・補佐・役員)は禁止」ということです。
副業が可能となる6つの例外
前述のとおり、公務員の方の副業は原則禁止です。
ただし、すでて副業が禁止されているということではなく、「上長の許可がある場合に副業が可能」または「上長の許可がなくても副業が可能」となる例外が存在します。
副業が可能となる7つの例外は以下のとおりです。
上長の許可がある場合に副業が可能
上長の許可がある場合に副業が可能な例外は、以下のとおりです。
- 講演・講師
- 執筆活動
上長の許可がなくても副業が可能
上長の許可がなくても副業が可能な例外は、以下のとおりです。
- 家業の手伝い
- 不動産賃貸業
- 株式やFXなどの投資
- 本業で必要になった仕事
上記表のとおり、古物商は「上長の許可があっても・許可がなくても」、副業ができない業種になります。
したがって、「公務員の方は、古物営業法上は古物商許可を取得できるが、公務員法の規定によって、古物商の活動はできない」という結論になります。
公務員が古物商許可を取得するタイミングは、退職前がおススメ!!
ここまで、公務員の方が古物商を副業で行う場合の注意事項をご紹介しました。
しかし、すでにご紹介したとおり、公務員の方が古物商の許可を取得すること自体は問題がない行為です。
したがって、公務員の方が古物商許可を取得するタイミングは、退職前がおススメです。退職前に古物商許可を取得することによって、退職後に古物商をすぐに営業することが可能だからです。
公務員を退職後の第二の仕事として、古物商はとても魅力のある仕事ではないでしょうか。
古物営業法では、古物商が6ヶ月間営業を行わない場合、公安委員会が古物商許可を取り消すことができる旨の規定を設けているからです
まとめ
いかがでしたか?
本記事は、「公務員は古物商許可を取得できる?」を詳しくご紹介しました。これで公務員の方が古物商許可の取得で迷うことはありません。
公務員の方で古物商許可の取得を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。