古物商許可を取得したい方は古物営業法に定められた要件を満たす必要があります。
もし要件を満たさないで申請を行った場合、当然警察は申請を受理してくれません。申請を受理してくれないということは、要件を満たした上で別日(平日限定)に再度申請しなければならないということです。
貴重な時間を使って申請する訳ですから、申請は一度で済ませたいと思うのは当然です。しかし、この満たすべき要件は複雑でなにを満たせばよいか迷ってしまう方も多いですよね。
そんな古物商許可を取得するに満たすべき要件は、本記事を読んでいただければ簡単に理解できます。
本記事は、『古物商許可を取得する際に満たすべき要件3選』を詳しくご紹介します。
目次
満たすべき3要件
古物商許可を取得したい方は、以下の3要件を満たす必要があります。
- 欠格事由に該当しないこと
- 営業所を設けること
- 管理者を選任すること
以下、各項目を詳しくご紹介します。
要件1.欠格事由に該当しないこと
欠格事由とは、古物営業法に定められた「古物商許可が取得できない人(法人)の要件」をいいます。
古物営業法では、以下12項目の条件が定められています。
古物営業法第4条:許可の基準
- 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
- (罪種を問わず)禁固刑や懲役刑に処せられ、又は無許可古物営業や名義貸しのほか窃盗、背任、遺失物横領、盗品譲受け等で罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けなくなってから5年を経過しない者
- 暴力団員
- 暴力団員でなくなってから5年を経過しない者
- 暴力団以外の犯罪組織の構成員で、強いぐ犯性が認められる者
- 暴力団対策法第12条、第12条の4第2項及び第12条の6の命令又は指示を受けた者であって、受けてから3年を経過しない者
- 住居の定まらない者
- 古物営業法第24条の規定により古物営業の許可を取り消されてから5年を経過しない者等
- 精神機能の障害により古物営業を適正に営めない者
- 一定の未成年
- 営業所ごとに管理者を選任しないと考えられる者
- 法人で、役員に上記①から⑨までのいずれかに該当する者があるもの
欠格事由の詳細については、弊所別記事:欠格事由とは?【法改正対応版】でご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
要件2.営業所を設けること
古物商許可を取得する場合、営業所を設ける必要があります。営業所とは、古物営業を行う本拠のことです。
個人申請(古物商許可を個人名義で取得する申請)では、この営業所は「自宅・自宅外」のどちらでも大丈夫ですが、自宅から通えない範囲を営業所とする場合、“申請者とは別の管理者”を選任する必要があります。
管理者については、「要件3」で詳しくご紹介します。
また、法人申請(古物商許可を法人名義で取得する申請)でも、この営業所は「本店登記の所在・本店登記の所在外」のどちらでも大丈夫ですが、営業所ごとに1人の管理者を選任することが求められている点に注意しましょう。
なお、営業所を設けようとする建物の所有形態(「自己所有(法人所有)」、「家族所有(法人の役員所有)」、「賃貸」)によって注意すべきポイントがあるため、以下ご紹介します。
自己所有(法人所有)
営業所が自己所有(法人所有)の場合、基本的に注意するポイントはありません。
例外として分譲マンションで古物商許可を取得する場合、マンションの管理規約に注意が必要です。マンションの管理規約とは、マンションの管理組合(管理会社)が定めた規約のことです。
具体的には、管理規約に記載のある「使用目的」に注意しましょう。分譲マンションの場合、管理規約に記載のある使用目的が「住居専用」になっている場合があるからです。
管理規約に記載のある使用目的が「住居専用」になっている場合、古物商許可を取得し営業する行為は、「事務所・店舗」とみなされる場合があり、たとえ古物商許可を取得したとしても、管理組合(管理会社)から営業の中止を求められる可能性があります。許可を取得したにもかかわらず、営業の中止を求められれば元も子もありません。
自己所有の分譲マンションで古物商許可を取得されたい方は、まずマンションの管理規約を確認するようにしましょう。
管理規約が手元にない方は、管理組合(管理会社)に閲覧を申し出ることで、管理規約の内容を確認することが可能です。
家族所有(法人の役員所有)
営業所が家族所有(法人の役員所有)の場合、当該建物の所有者から使用承諾書の取得を求められることがあります。使用承諾書とは、「建物の所有者が当該建物を古物商の営業所として使用することを承諾する」旨の書面をいいます。
個人申請のAが実家(実家の所有はAの親族B)を営業所とする場合、BからAへの使用承諾を求められるということです。
よく間違いやすい点としては、法人申請時に当該建物の所有が代表者の個人名義になっている場合です。
たとえば、法人Aの申請で営業所の所有が法人Aの代表者Bである場合、代表者Bから法人Aへの使用承諾が必要になります。法律上、法人Aの代表者Bと建物を所有していBは別であるということに注意が必要です。
賃貸
営業所が賃貸物件である場合、当該建物の貸主(管理を委託されている不動産会社)から使用承諾書の取得を求められる場合があります。「事務所・店舗」の使用用途で賃貸借契約を締結している場合、使用承諾の取得は基本的には問題ありません。
一方問題になりやすいのは、「住居」の使用用途で賃貸借契約を締結している場合です。
この場合、基本的に当該建物の貸主(管理を委託されている不動産会社)から使用承諾書の取得を得るのは困難である可能性が高いです。居室を住居専用で使用して欲しいと考えている貸主(管理を委託されている不動産会社)が多数だからです。
住居用賃貸物件で使用承諾が得られない場合
住居用賃貸物件で貸主(管理を委託されている不動産会社)から使用承諾が得られないことを理由として古物商許可の取得を諦めてしまう方は多くいます。しかし実は、住居用賃貸物件で貸主(管理を委託されている不動産会社)から使用承諾を得られなかった場合であっても、古物商許可の取得自体は可能です。
古物商を規制する法律である“古物営業法”では、住居用賃貸物件で貸主(管理を委託されている不動産会社)からの使用承諾を古物商許可の要件としていないからです。
使用承諾を許可要件としていない以上、貸主(管理を委託されている不動産会社)使用承諾も得られなかった場合であっても、古物商の許可を取得することは可能ということです。
ただし、「古物商許可の取得が可能」ということと、「貸主(管理を委託されている不動産会社)とトラブルになる(トラブルにならない)」ことは別問題です。
古物商許可の取得後、貸主(管理を委託されている不動産会社)とトラブルが発生した場合、すべて自己責任で解決することが求められます。事前にそういったリスクを理解しておく必要はあるでしょう。
要件3.管理者を選任すること
古物商許可を取得するためには前述の「要件1」「要件2」に加えて、管理者を選任する必要があります。管理者とは、古物営業の責任者のことです。
個人申請での管理者は、申請者自身を管理者として選任することが多く、法人申請での管理者は、役員や店長・主任クラスの方を管理者に選任することが一般的です。
この管理者は、基本的に各営業所に1人選任することが求められています。たとえば、営業所A、営業所B、営業所Cの合計3店舗が存在すれば、管理者も各営業所ごとに合計3人が必要になるということです。
例外的に営業所Aと営業所Bの距離が至近である等の事情がある場合は、管理者を兼務することも可能です。ただし、どの程度の距離が至近となるかは警察の判断になるため、管理者の兼務を希望される方は事前に管轄の警察署へ確認することをおススメします。
管理者も欠格事由に該当しないことが必要
欠格事由については要件1でもご紹介しましたが、管理者も欠格事由に該当しないことが必要です。古物営業の責任者である管理者は誰でも選任できるわけではなく、一定の制限があるということです。
管理者に選任しようとされる方についても、欠格事由に該当しないことを必ず確認してください。
自宅からの距離の制限がある
管理者に選任する方は、管理者に選任される営業所と自宅が通勤可能な距離であることが求められます。たとえば、東京に自宅があるAさんを福岡にある営業所の管理者には選任することはできないということです。
管理者は営業所における古物営業の責任者であるため、実態として当該営業所に常駐することが可能である必要があります。
まとめ
いかがでしたか?
本記事は、『古物商許可を取得する際に満たすべき要件3選』について詳しくご紹介しました。
本記事を読んでいただければ、古物商許可を取得する際に満たすべき要件で悩むことはありません。
古物商許可の取得を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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