法人に関する法規制を定めた“会社法”では、法人が事業を行うためには、設立時に作成する定款に法人が行う事業目的の記載を求めています。
第27条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所
事業目的とは、たとえば、
- 建設業を行う法人の事業目的=「建設業」
- 不動産業を行う法人の事業目的=「不動産仲介業」
- 飲食店を行う法人の事業目的=「飲食業」
といった記載内容のことです。
上記のとおり、法人で事業を行うためには事業に則した事業目的を定める必要がありますが、古物営業を行う際にどのような事業目的が必要になるのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
そんな古物商許可の法人申請時に必要となる事業目的に関する疑問は本記事で簡単に解決できます。
本記事では、『古物商許可を取得する際に必要となる事業目的例【法人申請】』について詳しくご紹介します。
目次
事業目的の記載内容にかかわらず古物商許可は取得可能
結論から申し上げると、古物商許可を取得する為に必要な事業目的は存在しません。これは、古物営業を規制する古物営業法において法人が古物商許可を取得する際の事業目的について特段の規程を設けていないためです。
たとえば、事業目的に「建設業」の記載しかない法人が事業拡大に伴い古物営業も行いたいと考えた場合、事業目的に建設業の記載しかない場合であっても古物商許可を取得することができるということです。
“古物商許可を取得する”という目的だけであれば、法人に定められた事業目的は建設業でも不動産仲介業でも飲食業でも何でも問題ありません。
古物商許可を取得するために必要な事業目的は存在しないが・・・
前述のとおり、“法人が古物商許可を取得する”という目的だけであれば、古物商許可を取得するために必要な事業目的は必要ありません。しかし、法人が古物商許可を取得する目的は「古物商許可を取得し、古物営業で利益を獲得すること」であるはずです。であるならば、現実的には事業目的をしっかりと整備することが必要です。
古物営業法では法人の事業目的に関する規制がないといっても、法人の権利、義務について規定している民法34条では、「法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う」と規定しているためです。
“目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う”とは、「法人は事業目的の範囲内でのみ取引を行える(権利・義務を負う)」ということです。
古物営業を行うにもかかわらず、法人の事業目的に古物営業に関する記載がない場合、万が一古物営業の顧客とトラブルとなった際に大きな損失が発生する恐れがあります。事業目的に記載がない=法人の目的の範囲外の取引を行っていたとみなされるため、顧客から損害賠償請求される可能性があるためです。
古物商許可を取得することだけを考えた場合はどんな事業目的の記載でも問題はありませんが、事業の円滑な実施のために、古物商許可を取得する際には事業目的を併せて見直すことをおススメします。
古物営業に関する事業目的例
古物営業を行うに当たり、事業目的に記載しておくべき記載事例は個々の営業内容によって違いますが、本記事では「一般的な事業目的例」及び「具体的な事業目的例」をご紹介します。
古物営業における一般的な事業目的例
幅広く古物を取扱いたい法人は、以下の事業目的の記載がおススメです。
- 古物営業法に基づく古物商
幅広く古物を扱いたい法人の事業目的におススメです。
古物営業における具体的な事業目的例
取扱古物がある程度固定されている法人は、以下の事業目的の記載がおススメです。
- 中古〇〇の売買
- 中古○○の買取及び販売
- 中古○○の買取、販売及び輸出入
まとめ
いかがでしたか?
法人が古物商許可を取得する場合、事業目的の設定は法的には必須ではありませんが、実務上は非常に重要になってきます。
法人として古物商営業を円滑に進め、万が一のトラブルを防止するためには、事業目的に「古物営業に関する内容」を明記しておくことが推奨されます。具体的には、本記事内でご紹介した「古物営業法に基づく古物商」「中古〇〇の売買」「中古〇〇の買取及び販売」「中古〇〇の買取、販売及び輸出入」等、自社が取り扱う予定の古物の種類や業態を明確に記載するのがオススメです。
法人設立後でも事業目的の追加や変更は可能ですが、申請時や許可取得後のトラブル回避を考慮すると、設立時または古物営業開始前に事業目的を明確にしておくことが安全です。これらのポイントをしっかり押さえて、安心して古物営業をスタートしましょう。
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