新品を販売する際に、これまで使用していた商品(古物)を引き取り、その分の新品の代金を値引きすることを「下取り」といいます。携帯電話を購入する際に、家電量販店のスタッフから使用済み携帯電話の下取りを提案された方も多いのではないでしょうか。
一方、古物営業法では、「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業」を古物営業と規定し、この営業を行う場合は古物商許可の取得を義務付けています。
この古物営業法の条文を一見すると、下取りを行うには古物商許可が必要に思えますが、下取りには「古物商許可が必要な場合」と「古物商許可が不要な場合」の両パターンが存在します。これから下取りサービスを検討されている方にとっては、どのような場合に許可が必要になり、一方どのような場合に許可が不要なのか、迷ってしまいますよね。
そんな古物商許可が必要な下取り・不要な下取りに関する疑問は、本記事を読んでいただければ簡単に理解できます。
本記事は、『古物商許可が必要な下取り・不要な下取りの違いとは?』について詳しくご紹介します。
“下取り”とは
“下取り”とは、新品を販売する際に、これまで使用していた商品(古物)を引き取り、その分の新品の代金を値引きすることです。携帯電話の販売や車の販売、テレビショッピング等で頻繁に行われているため、一度は利用されたことがある方も多いと思います。
たとえば、Aさんが携帯電話を購入しにB家電量販店に訪れたと仮定しましょう。Aさんはリンゴマークの携帯電話(50,000円)を気に入り、購入することにしました。購入の手続きを行うためB家電量販店のスタッフに話しかけた所、スタッフからAさんがこれまで使用していた携帯電話(古物)を譲ってもらえれば、購入するリンゴマークの携帯電話を40,000円に値引きすると提案されました。
この「古物を引き取り、新品を値引きして販売すること」が下取りに該当するということです。
古物商許可が必要な下取り
古物商許可が必要な下取りとは、下取りする商品の査定を行い、値段に差が生じたり、年式や型番等で値段をランク付けし、下取りを行う場合が該当します。
たとえば、A商品を下取りする際は10,000円値引き、B商品を下取りする際は30,000円値引き、C商品を下取りする際は5,000円値引きといったように、下取りする商品によって値引き額が異なる場合です。
このように商品によって値引き額が変わるということは、通常古物の買取りを行うものと同義となるため、古物商許可を取得する必要があるということです。
古物商許可が不要な下取り
古物商許可が不要な下取りとは、以下要件に該当する場合です。
問 新品の販売に当たり、買い換えの対象となった古物を下取りし、新品の販売
価格を割り引く「サービス」を行う場合、古物商の許可を要するか。答 新品を販売する業者が、下取りとして古物を引き取る場合、通常古物の買取り
を行うものであるから、これを業として行えば古物営業法第2条第2項第1号の
古物営業に該当するが、当該取引行為が、いわゆる「「サービス」として行う値
引き」としてとらえることができるときは、古物営業に該当しない。
問 どのような場合に「「サービス」としての値引き」に該当するのか。
答 新品の販売に伴う下取り行為が、次の要件を全て満たす場合は、当該取引は
「「サービス」としての値引き」に該当し、古物営業に当たらない。
(1) 形式的要件
下取りした古物の対価として金銭等を支払うのではなく、販売する新品の本来
の売価から一定金額が差し引かれる形での経理上の処理が行われていること。
(2) 実質的要件
ア 下取りが、顧客に対する「サービス」の一環であるという当事者の意思がある
こと。
イ 下取りする個々の古物の市場価格を考慮しないこと。
※ 「サービス」とは、「商売で値引きをしたり、客の便宜を図ったりすること。」
をいう。(『広辞苑(第7版)』参照)
上記で重要な点は、以下の内容に整理することができます。
- 経理上の処理が、古物の対価として金銭を支払う方法ではなく、販売する新品の値段から一定金額が差し引かれていること
- 下取りが顧客に対するサービスで行われていること(業として行われていないこと)
- 下取りする個々の古物の市場価格を考慮せしないこと
「経理上の処理」は事業者内の問題であり、対応することは難しくありません。
「下取りが顧客に対するサービスで行われていること」についても、顧客に対して十分な説明を行えば対応できるでしょう。
「下取りする個々の古物の市場価格を考慮せしないこと」については、古物商許可が必要な下取りと比較し、理解しましょう。つまり、古物商許可が必要な場合は、「下取りする商品の年式や型式ごとに下取り金額を変更する」のに対し、古物商許可が不要な下取りの場合は「下取りする商品の年式や型式を区別せず、下取り金額を決定する」点が異なっているということです。
たとえば、A商品を下取りする際は10,000円値引き、B商品を下取りする際も10,000円値引き、C商品を下取りする際も10,000円値引きといったようなイメージです。
このように「経理上の処理・下取りが顧客に対するサービスで行われていること・下取りする個々の古物の市場価格を考慮せしないこと」の三要件を満たしている場合、下取りは“サービス”であり、古物商許可を取得せずに行うことが可能になります。
まとめ
いかがでしたか?
本記事は、『古物商許可が必要な下取り・不要な下取りの違いとは?』について詳しくご紹介しました。本記事を読んでいただければ、古物商許可が必要な下取り・不要な下取りの違いを理解できるはずです。
「古物商許可を取得し“業として下取りを行う”」のか、「古物商許可を取得せず“サービスとして下取りを行う”」のかは、個々事業者の方の戦略によって異なるため、ご自身が検討している下取り業務に合わせ、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
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